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東海最前線

建設現場のニーズから生まれた施工管理アプリ「建工管理」(グロースチェンジ)

日本の建設業は、約60兆円の建設投資額(※1)があり、
およそ500万人(※2)が従事しています。
建設業界はITによる業務効率化が遅れていると言われてきましたが、
それだけ、今後の「建設テック」「建設DX」の市場規模は大きいと見込まれています。
国内外のベンチャーキャピタルが建設テック企業に多額の投資をする例も
相次いでいます。

そのような中、「建設テック」「建設DX」を手掛けるベンチャー企業、
グロースチェンジ(代表取締役社長 小川功、本社:愛知県稲沢市)は、
このたび、施工管理アプリ「建工管理」をリリース※3します。
リリース日の2021年4月20日に名古屋市内で記者発表会が開催されました。

ここが最前線:中小零細規模の建設業のニーズから生まれたプラットフォーム・アプリ

記者発表会の様子

※1.建設投資額 国土交通省「令和2年度(2020年度)建設投資見通し」より
※2.建設労働者数 総務省「労働力調査」2020年9月時点
※3.2021年4月はWebアプリとして提供開始されますが、近日中にネイティブアプリとして提供予定です。

 

建設現場で実際に必要とされる機能を実現したアプリ

グロースチェンジ代表取締役社長の小川 功(おがわ いさお)は、
2002年から足場工事の会社に職人として入社し、2006年に独立、
2011年に足場工事の建設会社であるオーテクニックを創業しました。

グロースチェンジ 代表取締役社長 小川 功

職人出身で、建設会社の社長でもある小川が、
建設現場で実際に必要と考える機能を実現したアプリが「建工管理」です。

大手ゼネコンや大手建設会社は、自社で使える情報共有のための
ITシステムを提供していますが、使えるのは自社の工事現場の人員に限られており、
中小零細規模の建設会社や個人事業主の職人はそのシステムを使えません。

また、昨今、施工管理アプリが相次いでリリースされています。
アプリを提供する会社が必ずしも建設現場に精通していないためか、
機能面で建設現場のニーズに十分応えられていない場合も多く、
特にリソース管理の機能は、ほとんど実現されていません。

 

建工管理の特長を3点ご紹介します。

特長1.既存の施工管理アプリには無かった人員、車両、機材のアサイン機能

中小零細規模の建設現場の仕事は、工程を管理することに加えて、
人材、機材・車両を最適に配置するリソース管理が大事です。

中小零細規模の建設会社の社長・番頭・現場監督は、
主にホワイトボードを使って人員や機材・車両の各工事案件への配置を検討します。
そして毎日、職人一人ひとりに電話をかけて、明日工事をする現場を指示します。
このような方法では、伝達ミスによる配置漏れや、ダブルブッキングも起きかねず、
計画変更を各職人に指示する際も手間になります。

建工管理は人材、車両・機材のアサイン機能を備えています。
職人や車両・機材のアイコンをクリック&ドラッグして
割り振りたい工事案件のところに移動するだけで、アサインすることができます。
ダブルブッキングや手配漏れを防ぎ、変更時にも柔軟に対応できます。

人員や車両・機材をドラッグ&ドロップで案件にアサインすることができる

これを見れば、職人も自分がいつ、どの案件に割り振られているかが分かります。
日本語に慣れていない外国人の職人でも、人材のアイコン写真を見れば、
どの職人と一緒に作業をするのかが分かります。

人員の登録

 

特長2.建設現場のプラットフォーム・アプリになりうる多彩な機能

建築・建設現場で使われる様々な施工管理アプリは、
工程管理アプリと、業務マッチングアプリの2種類に分けられます。

建工管理は当初は工程管理の機能だけでリリースします。
工程管理の機能としては、ガントチャートで工程の計画と実績が一覧でき、
工数や日報などを管理者と共有することができます。

工程管理

日々の作業指示は、図面や写真、現場の地図などが掲載されており、
いつ、どの場所で、どのような作業をすればよいのかが分かります。
地図はナビゲーション機能を備えています。

図面の登録

写真の登録

現場の地図(ナビゲーション機能になる)

会社が担当している案件全てを表示させることもできます。

案件一覧

近日中に業務マッチング機能も追加する予定です。
職人のスキルや在職状況などの情報に基づいて、
現場レベルの業務をマッチングする機能を追加する予定です。

さらに近日中にチャット機能も追加する予定です。
現場では、職人がプライベートで導入したLINEなどのチャットを
業務でも使っている場合が少なくありません。
それでは仕事とプライベートが切り分けられないリスクや、情報漏洩リスクがあります。

建工管理のチャット機能は、仕事専用のチャットとなるため、
これらのリスクを低減することができます。

現在、主な施工管理アプリの中では、
「業務マッチング機能」と「工程管理機能」の2つの機能を備えるものはありません。
建工管理は両方の機能を備えることになります。
さらに、チャット機能も備えることで利便性を高めて、
「建設業のプラットフォーム・アプリ」となることを目指します。

 

特長3.基本機能が無料で使える

本アプリは建設業の中小零細事業者や個人事業主、職人の方に使っていただき、
建設業の生産性向上に役立てていただくために、無料で基本機能を提供します。

近日中に有料(月額4,950円(税込)から)プランも用意します。
有料プランにすると使える機能が拡張します。

建設会社が料金を支払って有料版を使い、職人は無料で使うことが想定されます。

1)無料で使える機能
  顧客・案件管理、スタッフ登録(10人まで)、車両・機材管理(10台まで)、
  工程ガントチャート、作業指示書、日報・工程管理、マップ、写真(5枚まで)
  (マッチング機能追加後は、案件検索、案件掲載、企業検索も可能)

2)月額4,950円(税込) で使える機能
  上記のほか、スタッフ登録(30人まで)、車両・機材管理(30台まで)、
  写真(50枚まで)
  (チャット機能追加後は、外部チャット、個別チャット、案件チャットも可能)

3)月額9,950円(税込)で使える機能
  上記のほか、スタッフ登録(無制限)、車両・機材管理(無制限)、
  写真(無制限)、安全書類、データ共有機能

 

日本と相性が良いミャンマーで開発、クーデターに負けずリリース

建工管理は上記の目的で、無料または安価な価格帯で提供するため、
開発費用を安価に抑える必要がありました。
そこで、オーテクニックが現地の人材育成も想定して関わりを深めていた
ミャンマーのヤンゴンに現地法人
O-TECHNIQUE INTERNATIONAL MYANMAR COMPANY LIMITED
を設立し、ミャンマー人のエンジニアを採用しました。

グロースチェンジの取締役である倉田 秀一郎は、
ミャンマーに現地法人を設立した理由について、
「ミャンマー人はまじめで緻密な作業も得意で、日本人と相性がよいから。
 今まで一緒に仕事をしてきたが、問題が生じたことはない。」と説明しました。

グロースチェンジ 取締役 倉田 秀一郎

倉田が前職で同僚だったミャンマー人エンジニアである
ソー イエーテーをスカウトして、ソーが建工管理の開発責任者となりました。
ミャンマーで7名、日本で3名の開発チームが発足。
日本は仕様・設計・デザインを担当し、コーディングをミャンマーが担当しました。

O-TECHNIQUE INTERNATIONAL MYANMAR COMPANY LIMITEDのメンバー
(一番右はソー イエーテー)

順調に開発を進めていた最中、2021年2月にミャンマーでクーデターが発生。
インターネットの遮断やAPIの障害なども頻発しましたが、
VPNを利用したり、日本側ですべてのソースコードをバックアップするなどして、
このたび建工管理をリリースするまでに至りました。

ソーは、建工管理のリリースにあたり、
「ミャンマー人と日本人のエンジニアが協力して開発した建工管理を
 リリースすることができてうれしい。」
と感想を述べました。

現在はまだ開発段階で言えばフェイズ1の段階で、
今後はフェーズ8まで開発計画があるそうです。

グロースチェンジ 「建工管理」開発責任者 ソー イエーテー

 

「建工管理」を建設業のプラットフォームアプリに

グロースチェンジは「建工管理」を建設業のプラットフォームアプリにするべく、
3年間でユーザー5万人、3億円〜5億円の売上を狙います。株式上場も計画中です。

また、ミャンマーのクーデターの情勢が見通せない状況ですが、
ミャンマー国内の状況が落ち着きを取り戻したら、
現地での人材育成も推進する予定です。
日本から教育研修を行うことで、効率的な開発体制づくりを目指します。

ITの力で中小零細規模の建設業の生産性を高める――
グロースチェンジと「建工管理」の挑戦は始まったばかりです。

 

グロースチェンジ株式会社 会社概要
設立:2018年4月
資本金:1,000万円
URL:https://growthchange.co.jp建工管理URL:https://kensetsu-kenkan.com/事業内容:ITシステム開発・販売・コンサル、施工管理アプリ「建工管理」の開発・販売
代表者:代表取締役社長  小川 功
所在地:〒492-8448 愛知県稲沢市北麻績町郷前15番地
TEL:052-526-6630    
FAX:052-526-6631   
E-mail:info@growthchange.co.jp

 

取材・文・撮影:鈴木 満優子

編集:東海最前線 編集部