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東海最前線

商品開発部の女性たちが企画・開発し、キャラバン営業も手掛ける初のオリジナル商品

お気に入りのスープと偶然の出会い

誰にも「あの店のこの味」という自分のお気に入りがあるはずだ。
私は某チェーンのあるスープには目がなくて、
ちょっと小腹がすいたとき、もちろん食事のとき、そして温まりたいとき、
そのお店にわざわざ行って、そのスープをいただいている。

「おいしいな!」とほっこりしながら、世の中にはこうやって美味しいものを、
黒子として提供している企業もたくさんあることに感謝の念を抱いていた。

ある会合で、ある京都の会社の社長さんに出会い、交流がはじまった。
話をすると、なんと、そのスープを作っている会社だとわかって、
偶然の出会いに驚き、感動した。

その後、その社長と再会する機会があった。
社長がそのときお土産として持参された大きな袋。ぎっしり重い。

「これ、なんですか?」
「実は、これ、うちが初めてつくった自社商品なんです。
 うちも、ずっといろんな外食の会社にスープやソースを
 ご提供してきているんですけど、創業35年。
 そろそろうちの開発力を生かして、
 自ら商品をつくらねばと思って、生まれたのがこれなんです。」

 

商品開発室の女性たちの「あったらいいな」が商品に

その商品は、レトルト食品だ。
といっても、温めるだけのレトルト食品とは異なる。
コンセプトは「半調理」のレトルト食品。

商品には、下ごしらえされた肉や野菜の具材と、スープの素が入っている。
ひと手間かけるだけで、短時間でできる「ごちそうの素」である。
製法は化学調味料、保存料不使用にこだわっている。

この商品を使ってカレーを作る場合のレシピはこうだ。
商品を開封し、お鍋にかけて温める。
温まったら火を止めてカレーやシチューのルーを入れて溶かし、加熱して出来上がり。
5分もしないうちに、本格的な美味しいカレーが出来上がる。
野菜も肉も入って、下味も付けてあるため、本当に温めて、
いつも使っているルーを入れるだけなのだ。

カレーだけでない、グラタンや煮込みハンバーグ、パエリアなど、
これを使ってできるメニューは無限大。そこがこの半料理品の凄いところである。

もちろん、家の冷凍庫にある野菜を入れたり味のアレンジはお好みで。
商品名は「mitasu」(みたす)。
お客様がお好みの味(mi)を足す(tasu)だけで
美味しいお料理が完成するという意味や、おいしいものでお腹を満たす、
幸せな心を満たす・・・など、深い意味がある。

 

この商品は、当社で働く商品開発室の女性たちの願いから生まれた。
仕事、家事、育児にと、とにかく時間が足りない。
かといって、レンジで温めるだけの食事にはしたくない。
家族には、手作のおいしい料理を食べてもらいたい。

そんな彼女たちが「あったらいいな」と企画したのが、
この半調理のレトルト商品だ。
私たちのような忙しい日々を過ごしている女性のお役に立てたら・・・
との熱き想いで、この商品が試行錯誤の結果、誕生した。

思いがこもったこの商品。
もちろん発売時のパブリシティ活動も試みてメディアにも取り上げてもらった。

ターゲットが忙しい女性だからこそ、
インターネットで買っていただくのが便利だろうと、
ネット上のコミュニケーションも展開した。

この商品は、いろいろな料理が作れるという特徴があるため、
2週間に一度、新レシピを考案して、
WebサイトやYou Tubeやインスタグラムにもアップしていった。

しかし、
「ネット上で商品の認知が広まるのを待つだけでいいのだろうか?」
「もっと自分たちから、積極的に、求める人たちのもとへ出かけ、
 直接伝えてはどうだろうか?」
という議論がなされた。

 

商品開発室の女性たちによる「キャラバン営業」「実演販売」を開始

そこで企画されたのが「mitasuキャラバン隊」だ。
この商品を必要としてくれるターゲットのもとに自ら出かけ、
実演をしながら、試食もしていただき、
その思いや使い方、楽しみ方を直接伝える。

キャラバン隊の主役は、この商品を企画した商品開発室の女性たち。
これまで彼女たちは、企業向けの商品を黒子として開発してきたため、
直接お客様と接する機会は少なかった。

しかし、自分たちが企画・開発した商品なら、自分たちが伝えるのに適している。
ということで、2019年秋に早速キャラバン隊を結成し、活動を開始した。

2019年秋から、始まったmitasuキャラバン。
まずは地元の京都の金融機関、税務事務所、デザイン会社、印刷会社、
食品メーカーなど、女性が多く働く職場に声をかけ、
申し込み制でお昼や夕方などの女性社員の時間がとれる時間帯にお邪魔し、
キャラバン活動を行っている。

女性社員だけではなく、単身赴任や共働きの男性社員にも参加いただき、
その良さを体感いただき、好評を博している。

試食いただくのは、mitasuカレー。
上述のとおり、温めてルーを入れるだけの簡単なごちそう。
会場に入ってから調理できるというのも、
30分程度の短時間のPR活動に適している。

このキャラバン隊は、商品開発室の女性が、毎回メンバーを変え、
それぞれがプレゼンするなどの経験を積む機会にもなっている。
人前でどう伝えたらよいかを考え、シナリオを作成し、暗記し、
それぞれの個性を生かて思いを伝えるトレーニングになっている。

キャラバン終了後のアンケートからも、
「商品の良さがよくわかった」と「ぜひ使ってみたい」と好評をいただき、
それぞれ仲間にもぜひ紹介をしたいという声もあり、手ごたえは十分だ。

彼女たちは店舗でも実演販売も行っている。
お客様とにこやかにやりとりしている様子は、
自分たちで生み出した商品だからこその説得力がある。

 

ちなみにこの商品は、
「ヨリトコ」というブランドの最初のオリジナル商品だそう。
「ヨリトコ」とは、がんばる人の拠り所になりたい、という思いから生まれた。

価値ある商品だからこそ、しっかり伝え続けて、
ロングラン商品に成長していってほしい。

協力
  サンフーズジャパン
  大平印刷(写真協力)
  アドミレーションセンター(写真協力)

参考
  商品サイト  https://www.yoritoko.com/  レシピサイト http://www.sunfoodsjp.com/recipe/

 

筆者 今尾昌子  コミュニケーション・クリエイター
企業のマーケティングコミュニケーションおよび広報活動の指導や支援活動を行う。特に中小企業の発信力強化に尽力。企業相談や勉強会講師はもとより、ラジオナビゲーターとして中小企業の発信の場づくりに取り組むなどユニークな活動も展開。指導してきた中小企業はのべ1000社以上。認知度向上、企業の活性化に現場目線で取り組む。岐阜市出身。グラン・ルー代表。
公式サイト http://www.mahsa.jp