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「遊ぶように研究する」ロボット開発の新拠点——タマディックが一宮市に「Robo Lab.」を開設(愛知県一宮市)

東京都新宿区に本社を置く株式会社タマディックは、1959年の設立以来、自動車、航空・宇宙、FA・ロボットなどのメーカーとともに歩んできた総合エンジニアリング企業です。設計開発から生産技術、解析業務まで幅広く手がけ、最先端技術の開発に取り組んでいます。

同社は2017年に「株式会社タマディック健康宣言」を制定。さらに2021年11月には「社員がエンジニアとして誇りを持って働ける場所」を目指し、「タマディック名古屋ビル」を竣工しました。そして今年6月、同社はFA・ロボットテクノロジー事業部の新たな拠点として、愛知県一宮市に「TAMADIC一宮市オフィスRobo Lab.(ロボラボ/以下、Robo Lab.)」を開設。6月24日に行われた開所式の様子を取材しました。

左から、お笑い芸人 高橋茂雄氏、タマディック代表取締役 森實敏彦氏、一宮市長 中野正康氏

 

一気通貫の対応を可能にする最先端のエンジニア拠点

「Robo Lab.」は、事業拡大に伴う人員増加への対応と、自動化・省人化ソリューションを提供するロボットSI機能の強化を目的としたエンジニア拠点です。同社のFA・ロボットテクノロジー事業部に所属する社員を中心に約130名が勤務。同事業部はこれまで岩倉事業所を拠点としていましたが、事業拡大に伴う人員増加で手狭になったことを受け、「Robo Lab.」を開設して移転を図ることになりました。

「Robo Lab.」の開設にあたり、ロボット導入に向けた構想・提案から、ロボット本体の制御や情報処理システムの設計開発・検証、実働支援に至るまで、一気通貫で対応できる体制を整備。自社で設計製作ができる強みを活かし、プロトタイプ開発や技術検証を通じて、取引先の課題解決に直結するアイデアを迅速に提示できるのが大きな特徴です。


TAMADIC一宮市オフィスRobo Lab.の外観

「Robo Lab.」という名称には、先端技術に取り組むエンジニアたちが、心から楽しんで仕事と研究に没頭できる場所にしたいという想いが込められています。「Lab.」は「Laboratory(研究所)」の略語であると同時に、「Love(技術への愛)」という意味も重ねています。

TAMADIC一宮市オフィスRobo Lab.のオフィスロゴ

「Robo Lab.」が入居するのは、一宮市で繊維業を営んできた繊維専門商社「モリリン株式会社」の旧本店社屋です。同社から賃借した建物を、総工費約8億円を投じて全面的にリノベーション。施工は株式会社乃村工藝社が担当し、延床面積は約2700㎡に及びます。

 

築40年ほどが経過した建物をフルリノベーション

 

ラボや屋上テラス、サウナまで。多彩なエリアを整備

「Robo Lab.」の館内には、オフィスエリアのほか、会議室エリア、ラボエリア、休憩エリア、オフィスサウナなどを完備しています。

エントランスを入ってすぐの1階にあるのが、同拠点を象徴するガラス張りのラボ「THE LAB01」。ここではロボットやAGV/AMR、生産設備などの開発・技術検証を行います。2階にはロボティクス技術部、3階にはメカニカル技術部のスタッフが勤務。躯体をあえてむき出しにして天井を高く見せる構造を採用し、インダストリアルな雰囲気を出しつつ、ウッドベースの什器で落ち着いた空間を演出しています。

ロボットやAGVなどが置かれた「THE LAB01」のフロア内

開放感のある造りのオフィスフロア

4階には、パーテーションを外せば一体利用が可能な会議室を配置。大小さまざまな部屋を用意するほか、リラクゼーションエリアにはキッチンも備え、社員が集う憩いの空間を作りました。また、屋上の「Link Terrace」には、ワーケーションを意識したルーフトップテラスを増設。オフィス菜園も設けられ、一宮市を一望できる抜群の眺望を活かした憩いのスペースとなっています。

屋上に広がる「Link Terrace」。天気の良い日は名駅周辺のビル群も一望

オフィス菜園では社員が育てた野菜を収穫することも

数ある施設のなかでも同社が最も力を入れたものの一つが、オフィスサウナ「LUOVA SAUNA VALOA」です。平安時代に尾張の国で最も格式の高い神社とされた一宮市の「真清田神社(ますみだじんじゃ)」とその参道から着想を得て企画されたもので、心と身体の健康づくりを支える「働きがいのある職場づくり」を推進する同社にとって、ウェルビーイングの観点から積極的に進める「健康経営」を体現する施設となっています。

3階に設けられた「LUOVA SAUNA VALOA」は、10名ほどが同時に利用できる本格的なサウナ施設。「LUOVA」は「創造・クリエイティブ」を、「VALOA」は「光」を意味するフィンランド語で、真清田神社の神々しさをコンセプトに、エンジニアに光を照らし、技術の新しい角度と可能性を見つけてほしいという想いが込められています。

本格的な設備を備えた「LUOVA SAUNA VALOA」の内部

また2階には、心和むくつろぎのエリア「WANOMA」を設置。キッチンや畳の間を設け、社員同士で食事をしたり、個室で商談をしたりできるほか、サウナ後のリラックスエリアとしても活用できる和みの場所となっています。

 

夢中になって好きなものづくりに没頭できる環境

6月24日の開所式では、まずタマディックの代表取締役・森實敏彦氏が登壇。一宮オフィスに「Robo Lab.」と名付けた理由について、「成長著しいロボット産業、またSI事業の拠点となる場所であり、“遊ぶように研究する”という意味を持たせています」と説明しました。

株式会社タマディック 代表取締役 森實敏彦氏

「先端技術に取り組むエンジニアがたくさんおりますが、彼らが宇宙やロボットに憧れていた子どもの頃のように、夢中になって好きなものづくりに没頭できる。そんな環境にしたいと思ってこの場所を作りました」と森實氏。6月2日にオープンした豊田オフィスにも触れ、「同じ月に2つの拠点を開所するのはとても挑戦的なことですが、大きな意味があると思っています」と新拠点への想いを語りました。

2021年完成の「タマディック名古屋ビル」にも、ものづくりを行うラボやエンジニアが交流するテラス、本格的なサウナ施設を設置してきた同社。森實氏は「実際に成果もかなり出ています」とその効用を強調。名古屋ビルの開設以来、同社の事業規模はおよそ1.5倍に成長し、1人あたりの生産性も5年間で124%まで向上したことに加え、社員の健康診断の数値も毎年改善し、健康な社員の比率が増えてきているといいます。森實氏は「事業の拡大・成長と、社員の健康を両立できたこの5年間の取り組みは、当社にとって非常に大きな成果を生んだと考えています」と語りました。

これまでの想いを踏襲し、さらに進化させる形で開設されたのが、「All for Well Engineer life すべては、良いエンジニア人生のために。」というコンセプトを具現化した今回の「Robo Lab.」です。

「当社の価値の根幹はエンジニアですから、日々技術を磨き、新たなことに挑戦して、新しい価値を作っていく。そのためにも、仲間と切磋琢磨し、助け合い学び合いながら成長していく。そして健康的に、自分らしく生きることができる。これを“良いエンジニア人生”と捉えています。良いエンジニア人生を過ごすために会社は何ができるのか、何をすべきなのか。その問いに向き合い続けることが大事だと思っています」(森實氏)

社員の声を反映し、ジムやものづくりができる工房なども設置。森實氏は「社内だけでクローズするのではなく、社員のお客様やご友人、ご家族、地域の方、学生の方など、多くの方に来ていただいて交流したい。一宮の地で新しい価値を作っていきたい」と今後の展望を語りました。

社員の要望を受けてトレーニング用品を備えたジムも完備

 

お笑い芸人・高橋茂樹氏も「最高のサウナ」と語るオフィスサウナ

続いて、来賓を代表して一宮市長の中野正康氏が登壇し、祝辞を述べました。中野市長は、デジタルやAIによる時代の変化を、かつてこの地が歴史の転換点となった承久の乱や関ヶ原の戦いになぞらえ、「東から来たタマディックさんが、きっと日本を大きく変えていただける。その歴史の一歩を一宮市で踏み出してもらえるのではないか」と期待を寄せました。さらに、同市が東京大学の松尾・岩澤研究室と連携してAI分野の実証実験に取り組んでいることにも触れ、「デジタル領域も頑張っていますのでエンジニアの皆様とぜひ仲良くさせていただきたい」と連携の可能性を語りました。

一宮市長 中野正康氏

その後、芸能界きってのサウナ愛好家として知られるお笑いコンビ・サバンナの高橋茂雄氏が登壇し、森實氏とのトークセッションが行われました。今回新設されたオフィスサウナについて、高橋氏は「名古屋オフィスから進化していますし、シンプルな良いものだけを残している。お世辞抜きで最高のサウナだと思います」と率直な感想を口にしました。森實氏は、こうした施設が社員の交流や健康意識の向上につながっていると説明。「人が会ってしゃべるようになるのが嬉しい。社外の方も多く来てくださって、話が広がっていく。だから一宮にも絶対に作らなきゃだめだと思いました」と、新拠点に込めた狙いを語りました。

サウナについて語る森實社長(右)とお笑い芸人の高橋茂雄さん(左)

オフィスサウナ

 高橋茂雄さんと森實社長

トークセッションの後、ラボでは森實氏が「おそらく世界初」と話す「ロボットロウリュウ」のデモンストレーションが実施されました。使われたのは、オレンジ色のアームを持つ産業用ロボット。この日はゲームのコントローラーで気軽に動かせるよう設定され、高橋氏がその操作を体験しました。スティックを操り、UFOキャッチャーの要領で水をくみ上げ、サウナストーンに掛けていきます。自社で構想から制御、検証までを一気通貫で手がける「Robo Lab.」の強みを、遊び心とともに体現するデモンストレーションとなりました。

ゲーム用コントローラーでロボットロウリュウを操作する高橋さん

高橋さんと森實氏とエンジニアの皆さん

 

自由な発想を引き出し、新たな価値を生み出す創造の拠点に

「Robo Lab.」には、エンジニアの仕事と暮らしを支える施設が随所に整備されています。社員が組立作業などを行うために設けられた「THE LAB02」には3Dプリンターなどを配置。部品加工などに使える「Garage Zero」では、板金を曲げたり、ボール盤で精密な穴を開けたりといった作業が可能です。

ボール盤などを自由に使って加工ができる「Garage Zero」

オフィスサウナを利用するスタッフからは、「サウナに入って水風呂に入った時が一番すっきりする。アイデアが湧いたらここに来て少し熟慮すると、これまでの考えがうまく整理される気がします」といった声も。取引先と一緒に入ることもあるといい、「話題性があり、お客様にも喜んでいただける。仕事の話もしやすい」と、社内外のコミュニケーションを育む場としても機能しているようです。

事業拡大に伴う新たな一歩として開設された「Robo Lab.」。エンジニアが誇りを持って働き、自由な発想で価値を生み出すための拠点として、タマディックのさらなる成長を力強く後押しすることになりそうです。

 

【会社概要】
会社名 株式会社タマディック
所在地 東京都新宿区新宿6丁目24番16号
代表者 代表取締役 森實敏彦
創立日 1959年9月
社員数 1265名(2026年4月1日現在)
業務内容 航空宇宙、自動車分野における開発・設計・生産技術・試験解析
     精密機器、FA・ロボティクス、搬送装置などの開発・設計
     各種専用機および電気制御機器などの設計・製造・販売
     電気・電子機器の開発・設計
     ソフトウェア、ファームウェアの開発
URL https://www.tamadic.co.jp/

<TAMADIC一宮オフィス Robo Lab.>
所在地 愛知県一宮市本町4-22-10

【取材・文】
平井 基一
2003年1月から名古屋を拠点に活動するフリーライター兼編集者。オフィス・ヒライ代表。愛知県一宮市在住。ビジネス・経営関連の取材・執筆を数多く出掛ける。22級FP技能士・APF。note「名古屋のフリーライター日記」にて日々の活動などを発信中。
https://note.com/hiraimotokazu