東海地方発、世の中にインパクトを与える企業・団体・個人の最前線の情報を届けます。

東海最前線

東海地方の不動産・注目エリア(9)大曽根

2021.02.28

社会・地域

東海地方の不動産の注目エリアを紹介する連載、
第9回目は、大曽根をご紹介します。

名古屋市東区と北区にまたがる場所にある大曽根は、
現在はJR東海中央本線、名鉄瀬戸線、名古屋市営地下鉄名城線、
ゆとりーとラインの4路線が行き交う交通の便が良いエリアです。

JR東海 大曽根駅

名古屋大学の大幸キャンパス(医学部保健学科)と、
名城大学のナゴヤドーム前キャンパス(外国語学部、人間学部、都市情報学部)
があるため、学生も多い街です。

 

交通の要衝として発展

大曽根の「曽根」は町の一歩手前の意味のようです(所説あり)。
江戸時代は名古屋城下から5つの街道に出入りする玄関口が
「名古屋五口」(大曽根口、志水口、駿河口、熱田口、枇杷島口)
であり、下街道(善光寺街道)の玄関口が大曽根口でした。

旧下街道の名古屋多治見線

大曽根口の木戸は現在の赤塚交差点付近にありました。
街道に沿って通行人相手の商売も盛んだったようです。

明治になると、大曽根は多治見や瀬戸方面で作られた陶磁器を
輸出する際の中継点となり、
瀬戸と名古屋を結ぶ瀬戸自動鉄道(今の名鉄瀬戸線)が
明治39年(1906年)に大曽根駅まで開通し、
国鉄中央線の大曽根駅が明治44年(1911年)に開業しました。

戦後、震災復興を兼ねて、道路の整備や住環境の向上を目的として、
昭和38年(1963年)から大曽根土地区画整理事業が着手されました。
この整備事業は変更を重ね、平成16年(2004年)まで続けられました。
整備事業によって、線路の高架化や道路路線変更、道路拡幅、
建物の集約と高層利用、公園や街路などが整備されました。

この整備事業の間、地下鉄名城線大曽根駅の設置
(大曽根~市役所開通、その後、大曽根~砂田橋の開通、環状化、)、
名鉄瀬戸線の外濠線の廃止と栄への乗り入れ開始、
ゆとりーとライン大曽根駅の設置によって、
大曽根の交通の利便性はさらに向上しました。

ゆとりーとライン 大曽根駅

高度成長期には大曽根駅の東西両側に商店が立ち並び、
大いに賑わっていた頃がありました。
昭和40年には大曽根駅から西に600メートルのアーケードが完成し、
名古屋の3大アーケードと称されていました。

現在では、消費者のライフスタイルの変化、
都心への商業機能の集積の影響、区画整理の影響もあり、
往時のような賑わいはありません。

 

工業地帯としての発展

大曽根地域は交通の便がよく、矢田川の伏流水が豊富なことから、
明治時代から工業地帯として発展しました。

明治時代には先述のように、瀬戸や多治見方面で作られた陶磁器を
輸出する前に、大曽根で絵付けが盛んに行われていました。

大正時代になると、住宅近代化の需要の高まりや繊維輸出の好況をうけ、
硬質衛生陶器やタイル、紡績や製紙の工場が立地しました。

大正後半からは機械製造の工場が進出し、
大正13年(1924年)に現在も操業する三菱電機の工場が設立され、
昭和13年(1938年)に三菱重工の工場が設立されました。
(昭和19年・20年の名古屋空襲では三菱重工の工場が焼失)

しかし戦後から高度成長期を経て、
多くの工場が地方や海外に移転、あるいは閉鎖されていきました。

 

工場跡地を利用した大規模施設の設置が相次ぐ

1990年代以降、大曽根では駅の東側の工場跡地を利用した
大規模施設の設置が相次ぎ、街の姿が大きく変わりました。

1997年3月には、三菱重工業の跡地にナゴヤドームが開業。
中日ドラゴンズの本拠地としてプロ野球の試合が開催されるだけでなく、
ライブや展示会など大型イベントの会場として活用されています。

ナゴヤドーム

2002年には、大曽根駅東の三菱電機グラウンド跡地に
ショッピングセンター「メッツ大曽根」が開業しました。
スーパー、家電、生活雑貨、ドラッグストア、アパレル、喫茶などの
テナントが営業しています。

メッツ大曽根

2006年3月には、日本たばこ産業(JT)の跡地に、ナゴヤドームに隣接して
イオンモールナゴヤドーム前が開業しました。
商業施設面積およそ6500平米の売り場に、およそ180のテナントが営業。
駐車は2800台分あり、周辺住民やナゴヤドーム利用者にとって
利便性の高い商業施設です。

イオンモールナゴヤドーム前

2016年には、イオンモールナゴヤドーム前の隣に、
名城大学ナゴヤドーム前キャンパスが設立されました。
外国語学部、人間学部、都市情報学部のほか、
大学院の人間学研究科、都市情報学研究科のキャンパスです。

名城大学ナゴヤドーム前キャンパス

 

名古屋都心に近くて利便性が高く、比較的賃料が割安な街

リクルートSUUMOが発表した「2020年版 SUUMO住みたい街ランキング」では、
大曽根は「名古屋市民が選んだ住みたい街ランキング」で11位となっています。

大曽根は名古屋駅にも栄にも電車で10分程度という利便性がある一方、
例えば地下鉄東山線沿線などと比べると家賃が割安です。
イオンなどの商業施設もあるためショッピングの利便性も高く、
住宅地としての落ち着いた雰囲気もあることが評価されているようです。

このように、大曽根は交通の要衝であるために、
時代が変わっても異なる用途で利用され続けてきた街だと言えます。
今後、大曽根はどのように変貌していくか、見守りたいです。

大曽根駅西口

【出典】
・名古屋市公式HP 「市街地の開発整備 大幸南地区」 
 http://www.city.nagoya.jp/shisei/category/53-10-7-6-2-0-0-0-0-0.html
・「大曽根土地区画整理事業」(名古屋市)
・大曽根本通商店街公式HP 商店街について 
 http://www.ozone-ave.com/about
・なごや街角今昔【10】大曽根…伸びていく街 
 https://goo.gl/6oi54R
・リクルートSUUMO「SUUMO住みたい街ランキング2020」
 https://suumo.jp/edit/sumi_machi/2015/nagoya/machi/#live

 

【企画・編集】名城企画株式会社 × 東海最前線(タイアップ連載企画)
※本原稿は東海最前線 編集部の責任で執筆しています。

企画:名城企画株式会社2005年に名古屋市東区で開業した不動産会社。
不動産売買事業、不動産仲介事業、パーキング事業(名城パーキング)、
不動産管理事業、賃貸仲介事業(ホームメイト事業)、太陽光発電事業の6事業を展開。
地元名古屋の総合不動産企業としてお客様の要望にこたえるため、
大企業の組織的な考えにとらわれない柔軟なサービスを提供しています。

 ・名城企画株式会社:http://www.meijokikaku.jp/ ・名古屋・東海収益不動産NAVI:https://www.nt-navi.jp/


著者・編集:
東海最前線 編集部


写真

南谷有美 フリーランスのカメラマン/ライター
2018年4月に認可外保育園長を退いてから、各地を巡る旅人に。
リモートで仕事をしながら、好きな場所で好きなことをして生活している。