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東海最前線

健康に関するテクノロジーを体験できるイベント開催(名古屋ロボケアセンター)

2020.02.04

店舗・施設

つくば市に本社を構えるCYBERDYNE 株式会社(以下CYBERDYNE)は、2020年1月25日(土)に、名古屋市中村区の名古屋ロボケアセンターがあるエディオン名古屋本店にて、「健康に関するテクノロジーを楽しく体験できるイベント」を開催しました。

CYBERDYNEは、障害をお持ちの方や、加齢などにより身体機能が低下した方に対し、世界初の装着型サイボーグHAL®︎をはじめとする様々な最先端テクノロジーを利用し、脳・神経・筋系の機能改善を促す新しいプログラム「Neuro HALFIT®」を全国14か所のロボケアセンターにて提供しています。

名古屋ロボケアセンターはその1つで、2019年8月以来、試験的な営業を行なってきましたが、2020年1月より本格営業を開始しました。そこで、同センターの存在を一般の方に認知してもらうために、子どもからお年寄りまでを対象に、HAL®をはじめ健康に関する様々な最先端テクノロジーを体験してもらえるよう、本イベントを開催しました。

 

HAL®(腰タイプ)の装着体験

1階の会場では、HAL®(腰タイプ)の装着体験が行われました。重量は約3.1kg。手に持った時には少し重い印象を受けますが、装着時には気になるほどではありません。実際に動かしてみると、センサーが動きを察知して行動をアシストしてくれるので、困難な動きにも適応することができます。

HAL®の装着体験

HAL®腰タイプは、足腰の弱った方などの体幹・下肢の体幹運動をサポートするためにも使用されています。装着して体幹動作や立ち座り動作を繰り返すことによって、身体の機能向上を促し、HAL®を外した状態での自立度を高めることが期待できます。

HAL®は機能改善に向けたNeuro HALFIT®︎だけでなく、介護や農業や工事現場などの職場への導入も進んでおり、働く人の肉体的な負担を緩和することにも使われています。
また、アスリート向けのプログラムにも用いられています。2020年1月17日(金)には、野球の前田健太選手がHAL®を自主トレに採り入れた様子を、メディアに公開しました。
https://robocare.jp/archives/4887

 

癒しロボット体験

会場には、こんなにかわいらしいものもありました。「なでなでワンちゃん」「なでなでねこちゃん」です。ぬいぐるみの頭や背中やしっぽをなでると、静電センサーが感知し、かわいい声で鳴きます。なでる箇所に応じて鳴き声が変わります。実際の犬や猫と触れ合っているような感覚を楽しめるコミュニケーションロボットです。

なでなでねこちゃん

               なでなでワンちゃん

 

2階の名古屋ロボケアセンターでも、様々な催しが行われていました。

名古屋ロボケアセンター

 

血管年齢測定

血圧計と同じような機器で、血管年齢が測定できます。血圧とともに、上腕動脈の硬さと全身血管の硬さを測定し、それらから血管年齢を割り出しているそうです。

血管年齢測定

血管年齢測定の結果画面

 

TANOを使った姿勢測定やゲーム体験

「ケアピっと」という機器で姿勢測定をしました。カメラの前に立つだけで姿勢を測定できます。正面から見た肩と骨盤左右の傾きによるX脚やO脚のチェック、正面から見たシルエットのチェック、側面から見た猫背や反り腰などのチェック、上空から見た姿勢の歪みやねじれの測定、床面の重心の中心線からのずれのチェック、さらに各箇所の角度と「姿勢スコア」を測定します。

「ケアピっと」による姿勢測定

TANOは、モーションセンサーを利用したリハビリテーショントレーニングとなるゲームができる装置です。TANOTECH株式会社が開発し、CYBERDYNEが販売代理店として展開しています。

   TANOの楽しいプログラム

TANOでは、サッカー、バッティング、的あて、走る、泳ぐ、魚釣り、ボウリング、リズム動作、スロットマシン、お絵かきなど、約100種類のプログラムを楽しむことができます。プログラムの二次元コードをスキャンするだけで、プログラムが開始されます。楽しみながら体を動かせることが、TANOの魅力です。年齢に関係なく誰でも簡単に活用することができます。

先ほどの姿勢測定のデータを元に、推奨されるTANOのプログラムを選択します。例えば肩の上下運動が必要な方には薪割りゲームを、足を動かす運動が必要な方には、サッカーゲームを試していただく、といったことができます。

薪割りゲーム

サッカーゲーム

 

HAL®やTANOについてのミニセミナー

セミナー会場では、HAL®やTANOについて解説するミニセミナーが開催されました。

ミニセミナー会場

1つ目の講演は、CYBERDYNE(株)取締役、鈴鹿・大分・湘南ロボケアセンター(株)代表取締役 安永好宏さんによる「装着するサイボーグHAL®って何?」です。

CYBERDYNE株式会社取締役、鈴鹿・大分・湘南ロボケアセンター株式会社 代表取締役
安永好宏さん

HAL®は着るだけで身体機能を改善・拡張する装着型サイボーグです。皮膚にセンサーをつけ、筋肉を動かそうとする信号を読み取って動きます。日本では神経筋難病8疾患に対してHAL®による治療に保険が適用されます。愛知県では9か所の病院でこの治療が行われています。

他の疾患に対しても、例えば脳卒中の方がHAL®︎で治療を続けるうちに、HAL®︎を外しても、今まで動かなかったところが動くようになった、という事例が多数生まれています。

HAL®を使った治療は10か国以上に広がっています。ドイツでは脊髄損傷の治療として労災保険が適用されており、マレーシアではHAL®専用のセンターができました。また、世界27か国の方が観光としてHAL®を体験しに来日しています。

CYBERDYNEはAIGジャパン・ホールディングスと共同で、下肢機能障害を有する児童・生徒を対象に、HAL®︎を活用した歩行機能向上促進の機会を提供するプログラムを提供しています。

 

二つ目の講演は、IWA ACADEMY STRENGTH FLELD DIRECTER 田邉大吾さんによる、「革新!サイボーグを装着してアスリートの潜在能力を呼び起こす」です。多くのアスリートが取り入れているIWA式 Neuro HAL プラスについてご紹介しました。

IWA ACADEMY STRENGTH FLELD DIRECYER  田邉大吾さん

IWA ACADEMYは2016年3月にオープンしました。
アスリート向けの会員制トレーニング施設で、会員は1800人余りです。
HAL®も利用しており、四ツ谷ロボケアセンターとしても営業しています。

IWA式 Neuro HALプラスは、HAL®を使うことで、次の2つを目的としたトレーニングを行います。
① 力を入れる(ON)/力を抜く(OFF)の適切なコントロール
従来、指導者が伝えようとするタイミングが選手に伝わりにくいということがありました。しかしHAL®を使うことで、適切なタイミングが分かるようになります。このトレーニングにより、動作がスムーズになります。

② 脳・神経・筋系のパフォーマンスの向上
脳から信号を発して筋肉が収縮するまでにタイムラグがあります。このトレーニングをすると、走力や跳躍力のアップ、スイングスピードのアップなどにつながります。
HAL®を腰に付けてジャンプやサーブをすると、自分の体の能力が引き出され、その感覚を覚えています。

先述のように、2020年1月17日(金)には、野球の前田健太選手がIWA式 NEURO HALプラスを自主トレに採り入れた様子を、メディアに公開しました。
https://robocare.jp/archives/4887

腰の周りに器具をつけてスクワットや投球動作を行い、お尻から筋肉への信号をマシンが感知し、動きをアシストします。関係ない部分に力が入るとマシンがうまく動作しません。また神経信号を受けてからマシンがタイムラグなく反応するため、その速さに脳が慣れると、器具を外しても同様の速い動きができるようになります。

三つ目の講演は、TANOTECH株式会社 代表取締役 三田村勉さんによる、「最新テクノロジーで触れずに計ろう、遊ぼう!」です。

TANOTECH株式会社 代表取締役 三田村勉さん

TANOはコントローラーを持たずセンサーの前に立つだけで、楽しみながら体を動かすことができます。リハビリテーションやトレーニング、レクリエーションなどで活用されています。

約100種類あるプログラムの中から、サッカー、ボール投げ、薪割りゲーム、フリースロー、窓ふきゲーム、モグラたたきゲーム、モグラ踏みゲームを三田村さんがデモンストレーションしました。

バスケットゲーム

                 モグラ踏みゲーム

 

また、会場の皆さんと一緒に「福わらい」のゲームをしました。画面の上下または左右から目や鼻や口のパーツが移動してきて、発声したタイミングの位置にパーツが置かれるというものです。このようなプログラムは誤嚥予防や言語障害のリハビリにも使っていただけます。

福笑いゲーム

日本語のみならず多言語に対応しており、実際に中国、香港、台湾、韓国でも使われています。

 

本イベントを通じて、HAL®やTANOといった健康に関するテクノロジーを体験し、その魅力を実感することができました。
将来的には、このようなテクノロジーが身近に普及し、多くの人が利用するようになるのではないか、そう期待させるイベントでした。

<拠点概要>
拠点名: 名古屋ロボケアセンター
所在地: 〒450-0003 名古屋市中村区名駅南2-4-22 エディオン名古屋本店内
代表者: 安永好宏
営業時間: 10:00~19:00/休日:水曜
電話: 052-526-2226
FAX: 052-526-2227
WEB: https://robocare.jp/

 

著者・撮影
南谷有美 フリーランスのカメラマン/ライター

2018年4月に認可外保育園長を退いてから、各地を巡る旅人に。リモートで仕事をしながら、好きな場所で好きなことをして生活している。

著者・編集
東海最前線編集部