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東海最前線

廃校をリノベーション!スタートアップ・大企業・地域の交流の場となるコワーキングスペース「なごのキャンパス」

名古屋駅 桜通口より徒歩8分。ビルが立ち並ぶオフィス街に、
一風変わったコワーキングスペースが2019年10月に誕生しました。
その名は、「なごのキャンパス」。
旧那古野小学校をリノベーションして造られたものです。

ここが最前線:元小学校の解放感があり、スタートアップから
大企業・地域住民まで「交流」を積極的に支援するコワーキングスペース。

※空き状況、料金などの情報は取材時2019年11月28日時点のものです。

どこか懐かしさを感じる、小学校をリノベーションしたオフィス
なごのキャンパスは、大きく分けて
「コワーキング」、「シェアオフィス」、「レンタルスペース」
の3つのスペースを貸し出しています。

まずはその内部をご紹介します。

1.コワーキング

●なごのHOMEROOM

コワーキングスペースは旧職員室と廊下をリノベーションして作られました。
ワークスタイルや気分で自由に席を選べるフリーアドレスゾーンとなっており、作業、打合せ、商談などに利用することができます。天井吊り下げのスクリーンもあります。
全体は89m²あり、最大100名収容の交流会などイベントの会場としても利用できます(1時間7,500円)。

中央にオープンキッチンが設けられています。フリードリンクもあり、憩いの場になっています。

となりの旧校長室は、集中して仕事をしたい人向けのスペースです。一席ごとに区切りがあります。ここでの電話はNGです。

2.オフィス・シェアオフィス

廊下は、小学校当時の面影をそのまま引き継いでいて、どこか懐かしい気持ちになります。
ドアの上にはクラスの番号ではなく会社のロゴが表示されています。


「オフィス」と「シェアオフィス」は、2階と3階の教室をリノベーションして作られました。
オフィス約20m²~100m²(6坪~30坪)。契約者が利用できる個室です。募集してすぐに応募があり、すでに満室となっています。

シェアオフィスは固定席を契約して利用できる部屋です。WESTとNORTHの2室あり、計40席。24時間利用することが可能です。NORTHは全席埋まってしまいましたが、WESTにまだ少し空きがあるようです(2019年11月28日時点)。

SHARE OFFICE WEST(写真提供:なごのキャンパス)

OFFICE(写真提供:なごのキャンパス)


3.レンタルスペース

●会議室・セミナー室
会議やセミナー用の部屋としては、1階~3階まで、12名収容の会議室が7室(会員限定が4室、1Fの3室は一般利用可、1時間2000円)、18名収容の会議室が1室(会員限定)あります。

12名収容の会議室

30名収容のセミナー室は1室あります(一般利用可、1時間6,000円)。こちらは旧音楽室です。

セミナー室(約65m²)

 

●体育館
体育館は舞台と倉庫を除くと720m²あります。各種セミナーやピッチコンテスト、ドローン教室やスポーツイベント等で使われています。
利用内容によって料金が異なり、スポーツ利用は1時間2000円(土日祝は1時間3000円)、催事利用は1時間10,000円(土日祝は1時間15,000円)、撮影利用は1時間20,000円(土日祝は1時間30,000円)です。

体育館

●グラウンド
グランドは1日あたり10,000円で貸し出しています。ロケット工作教室のイベントや、グラウンドゴルフ大会などで使われています。都心でこれだけのスペースを利用できる場所は珍しいかもしれません。

 

カフェ
旧給食室は、カフェへリノベーションされました。yoakeという店舗名です。守山区にある人気のおはぎ専門店 OHAGI3 を手がけるホリデイズ株式会社が運営しています。yoakeは7:30~23:00まで(日曜は~18:00まで)営業しています。

カフェ

モーニングは、「あんこのせ放題」の小倉トーストが人気です。ランチタイムは、世界のどんぶりやカレー提供しています。夜は多国籍料理のお酒とおつまみが楽しめるバルになります。

給食を運搬していたエレベーターも残されていました。

 

廃校をリノベーションした、新しいコワーキングスペースの誕生

事業主体である東和不動産の飯澤千紘さんに、なごのキャンパスができた経緯や特長について、教えていただきました。

なごのキャンパスが生まれた経緯とコンセプト
―― はじめに、なごのキャンパスが生まれた経緯を教えていただけますか。

飯澤さん)当施設は、旧那古野小学校をリノベーションしたものです。那古野小学校は、2015年3月末をもって幅下小学校、江西小学校と3校統合され、名古屋市立なごや小学校となりました。その後も那古野小学校の校舎の一部は使われていましたが、2017年からは使われなくなりました。

2018年7月に、名古屋市が公募で旧那古野小学校の校舎の活用事業者を募集しました。施設の活用方針として、「広域的な交流の促進」、「産業・知的資産を活かした創造」「地域力の創造と発展」の3つの方向性が挙げられ、エリアの価値向上を目指す提案が求められていました。これに東和不動産も応募しました。複数の事業者のプロポーザルの中から、東和不動産の案が選ばれました。名古屋市が施設を所有し、10年間と延長5年のプロジェクトとして名古屋市との契約を締結し、オープンに至りました。

―― 東和不動産さんは、このような施設運営の業務を行ったことがありましたか。

飯澤さん)東和不動産は1953年に設立したトヨタグループの不動産会社で、不動産の所有・管理・売買・貸借ならびに受託管理を行っている会社です。

当社にとって、廃校をリノベーションしたり、シェアオフィスを運営したりするのは、なごのキャンパスが初めてでした。その後、当社は東京の御茶ノ水で、寮・社宅をリノベーションして、2020年4月にシェアオフィス等として運営を開始するプロジェクトに着手しています。

――なごのキャンパスには、どのような企業・団体が関わっていますか。

飯澤さん)意匠設計は「オープン・エー」、設備設計・施工は「大成建設」にお力添えを頂きました。また、運営面でも施設全体のマネジメントは当社になりますが、「パソナJOB HUB」、「R-pro」、「Tongaliプロジェクト」、「名古屋商工会議所」と各分野の専門の方々にも力になって頂き、共に運営をしています。

――それは利用者の方にとっても心強いですね。なごのキャンパスはどのようなコンセプトの施設ですか。

飯澤さん)「次の100年を育てる学校 ―ひらく、まぜる、うまれるー」というコンセプトがあります。
「ひらく」は、地域の歴史や思い出を継承する小学校の再生であること。
「まぜる」は、様々な人々が交流し、 新たな発想が“育まれる”施設になること。
「うまれる」は、ビジネスを“育て上げる”学校として、新しい人材を輩出していく施設になること。

ドラムを利用した照明

会員制度
――会員制度にはどのようなものがありますか?

飯澤さん)会員制度は大きく分けて3つあります。
一つ目は、「コワーキングスペース(フリー席)」。なごのキャンパス1階のコワーキングスペースを使用することが可能です。平日会員と休日会員とフルタイム会員と、利用時間に応じて選ぶことができます。現在、まだ会員には空きがあります。
(フルタイム会員は個人契約15,000円/月、法人契約18,000円/月、平日会員はこれより月額3000円安価)。また、一般の方の一日利用も可能です(1,500円/日)。

二つ目は、「シェアオフィス(固定席)」。なごのキャンパス3階のWESTかNORTHいずれかのシェアオフィスと、1階のコワーキングスペースを使用することが可能です。現在、NORTHは全席が埋まり、WESTに若干空きがあります。
(NORTH 25,000円/月、WEST 35,000円/月)。

三つ目は、「オフィス」。小学校の教室らしさを生かした個室のオフィススペースです。 約20㎡〜100㎡超まで、様々な面積のオフィスがあり、黒板やロッカーなど小学校として利用されていた設備も利用することが可能です。こちらは満室のため、現在募集しておりません。

―― オープン一ヶ月で、もう満室なのですね。

飯澤)ありがたいことですね。シェアオフィス(固定席)の方も、残りわずかになってきています。
※空き状況は2019年11月28日時点の情報です。

跳び箱を利用した椅子・机

幅広い交流を生み出す施設
――会員には、どのような方がいらっしゃいますか?

飯澤)個人でお仕事をされている方から企業の方まで、様々な方がいらっしゃいます。業種も多種多様です。東京に本社を構えており、名古屋進出の際に当施設を選んで頂くといった企業も多いです。会員様の事業内容等は、ホームページにも記載しています。

――会員どうしの繋がりもあるのですね。

飯澤)コミュニティマネージャーがお繋ぎするケースもありますが、交流会やイベントなども開催しています。月2回の定例Meetupを始め、テナント交流の場としてバレーボール部なども発足しています。外部の方が参加できるイベンもたくさんありますので、ホームページをチェックしてみてください。

――昨今、名古屋市内にもシェアオフィスが増えてきましたが、なごのキャンパスの特徴は何ですか。

飯澤さん)元は小学校なので、敷地が広く開放感があることが特長です。会議室、食堂、体育館、グラウンドは地域の住民も利用するため、地域との交流も生まれます。

また、なごのキャンパスには、スタートアップ企業だけでなく大企業も関わります。入居しているスタートアップ企業や起業家、学生と交流したいという企業向けに、法人プログラム会員制度を用意しています。

さらに、コミュニティ・マネージャーを設置しており、利用者の交流を積極的に図ります。そのため、スタートアップから大企業、学生や地域住民まで、幅広い交流が生まれる施設です。

――確かに、スタートアップから大企業まで、また地域住民も交流できる施設というのは珍しいですね。

飯澤)ビジネスをされている方はもちろんですが、それだけはなく地域の方にも気軽にご利用いただけたらと思っています。小学校として利用されていた時のように皆に愛されながら、那古野エリアから次の世代を育んでいく施設を目指していきたいと思います。

――ありがとうございました。

 

施設概要
なごのキャンパス
〒451-0042 愛知県名古屋市西区那古野2丁目14−1
JR/名鉄/地下鉄東山線・桜通線 名古屋駅 桜通口より徒歩8分
駐車場なし、近隣のコインパーキング利用
お問い合わせ: Mail:info@nagono-campus.jp
URL: https://nagono-campus.jp/

 

著者・撮影
南谷有美 フリーランスのカメラマン/ライター

2018年4月に認可外保育園長を退いてから、各地を巡る旅人に。リモートで仕事をしながら、好きな場所で好きなことをして生活している。

著者・編集
東海最前線編集部