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東海最前線

ブログ・SNSの情報発信でビジネスマンのハートをつかむ、行列ができるお弁当店

東新橋のビジネスマンに愛される「おふくろの味」

 新橋から浜松町にかけてはビジネス街が続くが、駅から離れた場所は飲食店は少ない。このあたりのオフィスで働くビジネスマンは、ランチに会社の近くでお弁当を買う人が多い。お弁当は、多忙なビジネスマンにとってありがたい存在。財布にやさしく、お腹を満たし、栄養もきちんと採れるとよい。毎日続けて食べても飽きないものがよい。

 そのようなビジネスマンの期待に応え、東新橋で「おふくろの味」のお弁当を提供し続けて行列ができるお店、「お弁当のかわの」。創業は昭和55年。この東新橋界隈の10坪の小さな店内で手作り弁当販売を行ってきた。この町で働くサラリーマンを支えるお店。平成19年に、今の店主にのれんが受け継がれ、地域の再開発のタイミングもあり、現在の場所に移転、そして2019年に12周年を迎える。

▲お弁当のかわの ホームページより

 今の店主は、もともと愛知県岡崎の出身。19歳のときに地元でバイトをしようとその当時、若者のバイト先として人気が高かったコンビニに電話したが募集しておらず、その代わりに近所のラーメン屋に電話したところ、採用。そこから彼の飲食業人生が始まる。「もし、コンビニでバイトしていたら、間違いなく今はコンビニオーナーをしていたと思います」という。ラーメン屋で働くうちに20歳で店長、さらに23歳で他のラーメンチェーンに転職し、地元で業績を上げつつ、東京へ転勤。そして32歳で独立した。

 以来12年間、毎日食べても飽きない「おふくろの味」のお弁当を作り続け、行列ができる店として、弁当店の競争が激しい立地にもかかわらず人気を維持し続けている。

 

毎日工夫されたメニューとブログ・SNSの情報発信で常連のハートをつかむ

 店主の1日は早い。未明から市場に仕入れに出かけ、そのまま店で仕込みのスタート。営業時間は平日の10時半~14時半と短時間。ランチタイムのみの集中営業だけに、朝早くの仕込みは最重要となる。仕込みは店主自身が行い、朝9時から出勤するパートさんに盛り付けなどをお願いし、販売体制に臨む。1日700食売っている当店、朝の準備がお店の生命線だ。

▲お弁当のかわの ホームページより

 毎日10時過ぎには、ブログ、Facebook、Twitterで「本日のお弁当」の情報をを発信する。受け取る側にすれば、そろそろお昼ご飯が気になる時間。そんな情報が流れたら、意識せずにはいられないだろう。当店ではメニューの情報発信のみならず、予約や取り置きも、ネット注文も行っている。忙しいビジネスマンにとってはお昼は貴重な時間。少しでも余計な時間は減らしたい、店にとっても12時すぎに来店客が集中しすぎるよりも、予約があった方が準備もでき、ゆとりをもった接客ができる。

 メニューは6品。「日替わり弁当」、「魚弁当」、魚をメインに揚げ物を一切抜いたヘルシーメニューの「ヌキヌキ弁当」、「メンチ弁当」、「から揚げ弁当」、「本日の丼」。毎日食べられる飽きないメニューであり、その中身も毎日変わるものが多く、1週間のランチは全てこのお店のお弁当という常連も少なくない。お値段は税込みで550円。開店当初はワンコインで乗り切ったが、材料高騰でやむなく価格改定。それでもボリュームたっぷりで美味しい、コスパは高い。そのほか、本日の汁、惣菜もお弁当購入者へ100円で提供するなど、わかりやすく、親切なメニュー展開だ。

 店主は常にメニュー研究をして、自身のファイルブックにレシピ集を蓄積。常にネット等で他店情報を収集しながら、顔の見えるお客様たちにどんな惣菜を提供できるかを常に考えている。そしてラーメンチェーンの時代に培った仕入先のネットワークをうまく活用しながら食材の仕入れも工夫し、コスパの高いメニューを考える。

 

なんでもオープンにする情報発信でお客様の信頼を得る

 店主自らがメニューを考え、仕入れをし、パートさんとともに仕込みをしている。その合間に、店主が毎日、ブログ、Facebook、Twitterで投稿、発信している。お弁当のメニューと料金だけでなく、おもてなしの心や店主のキャラクターがお客様に伝わる。Facebookでは常連を中心としたお客様からのコメントと、店主からの返信を見ることができる。食材のことから、自身の休日のことまで「なんでもオープンにする」がモットーで、それがお客様との信頼づくりにつながっているのだろう。

 最後にこれからの抱負をたずねてみると、「ブラウン弁当の最高峰を目指す」だそう。そして、これまで積み重ねてきた結果、わかったことはひとつ。愛知にいても東京にいても、商売の秘訣は「コツコツ」と、これ以外にないとのこと。チェーン店ではなく、個人経営のお店故の悩みも多いと思うが、まさに仕事とは会社がするのではなく、「人がする」ということを改めて学ばせてくれる。

 最後に、このお店のURLは、genkigohan 「元気ごはん」。食べることで、かかわることで元気が出るお弁当屋さんだ。いつまでも地域のお客様に元気を与え続けてほしい。

 

協力 お弁当のかわの
 URL http://www.genkigohan.com

 Facebook https://www.facebook.com/obentoukawano/

 Twitter https://twitter.com/genkigohan

 

筆者 今尾昌子  コミュニケーション・クリエイター
企業のマーケティングコミュニケーションおよび広報活動の指導や支援活動を行う。特に中小企業の発信力強化に尽力。企業相談や勉強会講師はもとより、ラジオナビゲーターとして中小企業の発信の場づくりに取り組むなどユニークな活動も展開。指導してきた中小企業はのべ1000社以上。認知度向上、企業の活性化に現場目線で取り組む。岐阜市出身。グラン・ルー代表。
公式サイト http://www.mahsa.jp