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脱“野菜摂取量ワースト1位”。愛知県の小学生が考える「もっと野菜を食べる方法」

2018.08.06

社会・地域

一人あたりの野菜摂取量が全国最下位——厚生労働省が公表した「平成28年 国民健康・栄養調査報告」によると、20歳以上の愛知県民一人あたりの野菜摂取量は全国最下位です。20歳以上の男性が全国最下位、20歳以上の女性は第3位、男女合計でも最下位です。

この問題について、この夏、愛知県在住の子どもたちが立ち上がりました。

2018年8月4日、星ヶ丘三越の8階にて「小学生の夏休み自由研究 食や健康に関する街頭インタビュー調査と報告会」が開催されました。主催はオーラルケア商品でおなじみのサンスターです。サンスターは、健康について体験し考える機会を提供するために、7月25日から8月7日にかけて、星ヶ丘三越の1階で「サンスター健康道場 期間限定ショップ」を設け、「めざせ!健康先進県 愛知県民の健康について考えよう」キャンペーンを開催しています。小学生の夏休み自由研究企画も、その一環として行われました。

参加者の小学生たちは街頭インタビューを行い、「なぜ愛知県民は野菜不足に陥っているのか?」、「どうすれば解消されるのか?」といった点を考察・発表しました。小学生の目線で提案された解決策とは一体何なのでしょうか、現場レポートをお届けします。

■一大生産地なのになぜ?愛知県民が野菜不足に陥る理由

今回のイベントに参加したのは愛知県内の小学生4年生~6年生の8名です。はじめに、サンスターの田北管理栄養士が、野菜の種類、野菜から摂取できる栄養素や、その栄養が与える身体への影響などについて説明しました。これらの基本的な知識をすでに知っている子どもたちもいて、意識の高さが伺えました。

続いて、ショッキングな情報として、愛知県の一人あたりの野菜摂取量は全国平均を大きく下回っていることが紹介されました。国が推奨する1日あたりの野菜摂取量は「350g」です。愛知県民はこれより平均100g以上も野菜が不足しているわけです。

ここで、野菜摂取量ワースト1位の愛知県は、実は「野菜生産量が全国5位」であることも紹介されました。有名なのはキャベツ(全国1位)やトマト(全国3位)で、愛知県は定番野菜の一大生産地と言えます。(※1) 「それなのに、なぜ?」。小学生たちは首をかしげます。

なぜ、愛知県民の野菜摂取量は少ないのでしょうか。次のような見解を持つ研究者もいます。(※2)

・愛知県内では古くから漁業と畜産が盛んであったため、「魚と肉」を中心とした食文化が定着しているから
・いわゆる「名古屋メシ」には野菜がほとんど使われないから
・製造業が盛んな愛知県では「外食」の頻度が多いから

しかし、明確な原因は判明していません。この難問に対して、小学生は改善への糸口をみつけられるのでしょうか。

■“リアルな声”に耳を傾ける。子どもたちの街頭インタビュー

インタビューは3チームに分かれ、星ヶ丘三越の敷地内1F・8F周辺で行われました。最初は緊張気味だった子どもたちも、一般客と触れ合う内に笑顔がみられるようになりました。

インタビュー内容は、野菜摂取に対する意識と日々の食事に関する質問です。

1.あなたは野菜が好きですか?
2.あなたは昨日、朝・昼・晩の食事でどのような野菜を食べましたか?
3.あなたは愛知県民がもっと野菜を食べるためにはどうすればいいと思いますか?
4.それぞれ自由に質問内容を考える
(「一番好きな野菜は?」、「愛知県が野菜摂取量ワースト1位だということを知っていましたか?」など)

回答は実にさまざまでした。日頃から野菜不足を気にしている人がいれば、野菜不足を自覚しながらも、なかなか改善できていない人もいました。また、回答者の大半が「愛知県は野菜摂取量ワースト1位」という事実を知らなかったようです。県内全体で野菜不足に陥っている認識が広まっていない証拠といえるでしょう。

インタビュー終了後は、集めた情報と、自分が考えたことを、サンスターのスタッフのアドバイスも受けながら、模造紙にまとめました。

子どもたちは真剣な表情で作業に打ち込んでいました。可愛らしいイラストを加えたり、箇条書きにして分かりやすくまとめたり、図やグラフにして解説したりと、それぞれ工夫をこらしたレポートを作り上げていきました。

■ポイントは“外食”にあった?野菜不足解消へのヒントとは

発表会は、一人一人が作った模造紙をホワイトボードに掲示して、発表しました。「給食にもっと野菜を増やすべき」、「好き嫌いを無くそう」といった子どもらしいレポートもあれば、大人も考えさせられる結論のレポートもありました。

ある発表者は「外食を減らす」、「テレビで野菜不足を広める」、「野菜を使った手料理を作る」という結論に辿り着きました。とりわけ注目したいのが、外食の頻度です。

総務省統計局が公表した「家計調査結果(※3)」によると、愛知県・名古屋市の外食率は全国4位であり、平成28年度は全国1位になっています。外食の内容にもよりますが、一般的には外食が多いと野菜不足になりやすいと言えます。ましてや愛知県にはモーニングサービスの文化もあります。朝食を一杯のコーヒーやトーストなどで済ませてしまうと、野菜を十分に摂取する機会が1回分減ってしまいます。

「野菜をもっと安くすべき」と主張した発表者もいました。2018年は天候不良による野菜の価格高騰が問題となっています。実際に街頭インタビューでも「野菜が高くて買えない」という声が挙がっていたようで、野菜の価格高騰は消費者にとっても大きな悩みとなっていることにフォーカスしていました。

一通り発表が終わった後、サンスターの田北管理栄養士から全員に表彰状が送られました。夏休みの自由研究の一環とはいえ、積極的に、楽しそうに取り組んでいる姿がとても印象的でした。このイベントを通じて友達ができた子もいたようです。

「野菜不足は個人の問題」。そう認識している人も多いことでしょう。しかし「愛知県は野菜摂取量が最下位」という事実は、愛知県全体に共通する問題だと言えます。そして、このことがほとんど認識されていないことも、今回の街頭インタビューで浮き彫りとなりました。どうすれば改善できるのか、小学生に負けずに、愛知県民全員が考える必要があるのではないでしょうか。

なお、今回の夏休み小学生自由研究企画は、サンスターが健康について体験し考える機会を提供する「めざせ!健康先進県 愛知県民の健康について考えよう」キャンペーンの一環として開催されました。

星ヶ丘三越の1階では、7月25日から8月7日にかけて「サンスター健康道場 期間限定ショップ」が設けられています。ショップでは「Pepper」による「1分健康チェック」や、写真で毛細血管の血流の状態がわかる「血管美人」、管理栄養士による食生活のアドバイスなど、健康に関わるさまざまな無料体験が受けられます。

サンスターは「健康道場」というブランドで青汁や野菜ジュースなどの健康食品を販売しています。「健康道場」の商品は通信販売が中心ですが、愛知県内の一部百貨店内にある北野エースなどの店舗でも扱っています。

サンスター健康道場 http://www.kenkodojo.com/

(※1)愛知県野菜生産振興方針 https://www.pref.aichi.jp/engei/kakusyu-keikaku/keikaku/280325/01-yasaisseisanshinkouhoushin.pdf

(※2)日本経済新聞電子版 2015年4月19日 野菜摂取量、まさかの全国最下位 愛知県民に諸説あり https://style.nikkei.com/article/DGXMZO85813940X10C15A4000000/

(※3)総務省統計局 家計調査結果 品目別都道府県庁所在市及び政令指定都市ランキング(平成27年(2015年)~29年(2017年)平均) http://www.stat.go.jp/data/kakei/5.html